
POLKA DOTS CANDY
元orange cubeのヴォーカル三澤香織ことKAOのソロ2ndアルバム。 orange cubeでもピュアなネオアコ系ギターポップを聴かせていたが、ここでは自身のピアノを最大限にフューチャーして、さらにピュア度を高めた極めて純度の高い独自のポップスを展開している。 どの曲もじんわりと静かに心の中に光が広がっていくような曲ばかりだ。そのなかでとりわけポップ度が高いのがタイトル曲だが、これもコーラスへの展開の仕方が見事で、アルバムのとてもよいアクセントになりつつもアルバム全体の統一感は保たれている。 個人的には、大塚利恵のメジャーファーストアルバムを聴いた時と似たフィールが感じられたが、(ピアノが基調であるところもヴォーカルも似ている。)KAOのほうがさらに光が満ちてる感触がある。 全曲の作詞作曲はKAO自身で、アレンジをDr.StrangeLoveの根岸孝旨(Cocco、つじあやの、中島美嘉、aikoなど)が手がけている。 M1とM4がインスト曲になっているが、どちらもとてもいい感じにアルバムの構成要素になっている。 M5の歌詞もヴォーカルも素晴しく、M1からこのM5までの流れは非常に完成度が高い。どの曲もよいが、個人的にはM2、M3、M5はとくに心打たれた。 KAOの最大の魅力はおそらくそのピュアなヴォーカルであるだろうが、個人的にはKAOの弾くピアノフレーズのセンスが素晴しいと思う。歌詞にすることの出来ない想いまでをピアノで余すところなく表現できている。このピアノフレーズがあるのとないのでは曲の魅力も心の琴線への到達度合いもかなり違ってくるだろうと思う。 ただ、KAOのルックスや今までの活動などからイメージするともっと弾けたポップスを期待されるかもしれない。それからすると、どちらかというと地味な音楽なので、伝わるのに時間がかかるかもしれない。地道に活動を続けてほしいと想う。 個人的には、どういったアルバムをつくってもKAOの基調は変わらないだろうと思うので、方向性に関わらず今後がたのしみだが、この人なら弾けたポップアルバムを作らせても、素晴しいものを作ってくれると思うので、今後はそういった曲やアルバムも期待してみたい。(「ジュエルボックス」収録の「トリップ」のような) 聴いてるとホントに自分の心が喜ぶ「光ある音楽」。幸せな気持ちになれます。 (By オープン)